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「……朝っぱっから何て痛々しい事叫んでんの、ナゴ」
俺の絶叫が終わった所で、溜め息混じりの声が俺にかけられた。
声の主など顔を見ずとも分かるが、声をかけられると反射的に振り向いてしまうわけで。
「なんだ、お前かよ……」
声の主は末木桜子(スエキサクラコ)。
俺が物心ついた頃から近くにいる奴で、まあ俗に言う幼なじみという奴だが。
幼なじみ、なんてなんとも俺の心躍る設定だが、コイツの場合俺が望むような『幼なじみ』のような要素は0。可愛げなんてあったもんじゃない。いつもウザいほどテンション高いし、俺にあーしろこーしろうるさいし、喧嘩ばっかりだし。ちなみに喧嘩といっても口喧嘩だったらそれこそ理想のかわいい幼なじみだが、俺達の場合殴り合いに至る。
と、まあ、とにかく俺にとって嬉しくもなんともない幼なじみ。むしろ腐れ縁ぐらいなのだ。
ついでに俺の理想の幼なじみとは、例えば俺が着替え中に勝手に部屋に入ってきて、俺が怒っていると「昔一緒にお風呂行った仲じゃん」と言うなど、かわいいくせに大胆な奴を指す。伝わるだろうか。
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