色とりどりの世界

翡翠色の瞳

私の家には古くから日本人形がある。
私はその人形が苦手だった。
私が幼い時、好奇心でその人形を手に取ろうとし落としてしまったのだ。
その際に人形の瞳が割れてしまい、今は代わりに西洋人形の瞳が入れられている。
黒髪にオカッパ頭の着物を着た彼女に淡い緑の、まるで“翡翠”で出来たような瞳は不釣り合いだった。
私は彼女が苦手だった。
彼女の瞳は私の幼い頃の過ちを責めるかのように鋭く輝いているから…