蒼の世界

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僕のクラスには“アオ”という男の子がいます。 僕とアオは親友同士でした… アオはおとなしい男の子。 人と話すのが苦手で、よく勘違いされます。 でも本当は心の優しく明るい子だと僕は知っていました。 だけどクラスのみんなには伝わらず、冷たく扱われていました。 僕も仲間外れにされたくないので、みんなの前では口裏を合わせアオに冷たくしていました。 そしてアオはだんだん学校にも来なくなりました… ある日の夜、僕はアオから電話が来ました。 『僕の目の前には“アオ”の世界しか広がっていない、 だから僕はこの世界から逃げ出そうと思う…』 …これがアオの最後の言葉となりました。 アオは海に飛び込み自殺したのです。 そしてその日から僕の生活は一変しました。 いじめていたのはクラスのみんななのに、アオが自殺したのは僕のせいにされました。 僕がアオに冷たくしたからだと… アオが死んだ恐怖を僕一人に押しつけてきたのです。 そしてみんな僕に話し掛けてくれなくなりました… 僕はアオと同じ立場になったのです。 …冷たい みんなの視線が、 みんなの言葉が、 みんなの態度が、 僕の世界が蒼く冷たい世界へと変わってしまいました。 これがアオが体験してきた世界だったのです。 僕は生まれて初めて後悔しました 僕だけでもアオに優しく接してやるべきだったと… この“蒼の世界”を照らしてあげるべきだったと… 僕は今、アオの死んだ海の前にいます。 待っていてね、アオ 僕もすぐに行くから この“蒼の世界”を抜け出して… 僕は真っ青に広がる海に飛び込みました…
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