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「桜川さん、好きです」
今まで何度も聞いた言葉、自然に溜め息がもれる。
今月で何人目だよ。
内心イラつきながらも目の前にいる男の“告白”を聞く。
「よかったら俺とつきあ「ごめん。僕は興味ない」
男が言い終わる前に遮るように言う。
男……確かその松山という奴は一瞬戸惑っていたけどすぐに、ああ、やっぱりって顔になった。
「用がないなら、もう行く」
「…うん、やっぱ。高望みだったか」
そういう問題じゃないだろう。大体なんだ貴様は。
こんなくだらない遊びにこっちは10分も時間を無駄にした。
屋上に呼び出され5分、待つのに3分、話をされるまで2分だ!
この10分で何ができたと思う?かっぷらーめんとやらを三個分以上できるんだぞ。
まあ、“かっぷらーめん”なんて食べたこと、ないけど。
「相変わらずモテるな、響氷」
あ、なんかウザい奴の声が聞こえた。
「今月で15人目だ、告白」
「ふーん、あそ」
興味なさそうに響氷は言い捨てた。
こういうとき、決まってこの響氷の幼なじみの男、初瀬川こころは思う。
───俺が告白しても、今の男みたいにフラれるのか、と。
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