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「う、俺やっぱ弱いんだ…」
「もういいよそれで。面倒くさい」
なにゆえ僕はこんなコントみたいな事をしなくてはならない。おかしいだろう。
「…師匠に、なってくれないの……?」
涙目でこちらを見てくる石谷。
可愛い……とか思ったりもしたが、ここで優しくしたらつけこまれる。
「大体、なんで僕なんだ」
「色々な、経験をしてそうだから?」
それだけか。
それだけなのに。
なぜ僕は貴様にこんな振り回されなければいけない。
「あいにく、そんな色々経験してない」
「……え?」
「ましては、普通の人間が経験してそうな、……恋愛経験など持ち合わせていない」
「……」
石谷は俯いてしまった、今の発言のどこに俯く要素があったのか。まあ別に知りたいとは思わないが。
「……俺が」
「?」
「俺がその恋愛経験?とやらを教えてやるから俺の師匠になって!!」
「………はっ!?」
本日二度目の驚き。
いや、だって。
恋愛経験を教えてやる。
なんて言われてみろ。
漫画のセリフで、「おれが大人の恋愛を教えてやるよ」的なのはよく聞くが、
恋愛経験を教えてやる。
意味わかんねー…。
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