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あれはいつだっただろう。
真夏の、日常の活動に支障をきたすほど茹だるような暑い日だったことは覚えている。
そんな時、私の下に、見知らぬ差出人から大きな荷物が届いた。
また荷物とは別に封筒が届けられていた。とりあえず、封筒を開け、中の手紙に目を通してみる。
そこにはゴシック体で
『当選おめでとうござい致します!』
と書いてあった。
全く身に覚えがなかった。
気まぐれで懸賞にでも応募していたのだろうか?
手紙はさらにこう続く。
『当選誠におめでとうござい致します。貴方様は1000万円を当選なさられました。』
――なんとも言えない不思議な日本語である。
私はそれに言い知れぬ違和感を抱いた。
だが、もしこれが事実ならば素晴らしいサプライズである。
突如にして大金を手することが出来た喜びと驚きに興奮した私は、そんな違和感など、どうでもよくなっていた。
「そうか、この荷物は現金なんだ!」
だが、その手紙には続きがあった。
『ご当選されました貴方様に至りましては、とある挑戦をして頂きたく存じます。』
『貴方様には一週間の期間、とある「嘘」をおつきになって頂きます。一週間、嘘をおつき頂きましたところ、貴方様の下に1000万円が届く次第にございます。』
その時の私は、「なんだ嘘をつくだけか」と軽い気持ちでいた。
そう、人間にとって嘘など大したことではない。
人は皆、大なり小なり何かを偽って生きているのだから。
――それは私も例外ではない。
ここで問題点を挙げるとしたらその「嘘」の内容である。
1000万円と釣り合う程の嘘。
それがどんなものであるのか。
『それでは、貴方様には届きました荷物を開封して頂きたく存じます。』
『開封後は、中にある手紙の指示に従って下さいませ。』
兎にも角にも、開けてみなければ始まらない。
私は意を決して、荷物に手を伸ばす。
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