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これだけは、誰にも言っていない事実で。変えられない事だから諦めるしかないんだけど。
勿論隣にいる君にも秘密なんだ。
嫌われたくないから離れてよって言うのは、やっぱりわがままかな?
うーん…………。
「なに悩んでんの?」
「うぇ!?な、なにが!?」
「……怪しい」
「や、や、何でもないから!」
「ふーん?まぁいいけど」
ほっとため息を吐き出す。
学校に入っていくボクと君。
あぁ、また言えなかった。
何だかんだで、ボクは君がずっと好きなんだけど、ボクは疫病神だから離れてください。
……なんて、言えるわけないか。
魔法の授業。
ボクは上手く発現出来ないから、火属性なら焚き火程度、水属性ならコップ二杯とか。
使えない訳じゃないけど、正直ショボい。
それに比べて君。
余裕で人を殺せそうなレベルの技をすいすい発現しちゃう天才。
「はぁ……」
「ん?どうしたのよ」
「……なんでもない」
「あら、なに?拗ねてるの?そうなの?」
「なんでもない!」
「……可愛いなぁもう本当に羨ましいくらい。なんで男の子なんだろねー?」
「…………。」
頭を撫でられたらもう黙るしかない。
これ以上は何を言っても無駄だから。
下手すると抱きしめられる。あれは本当に恥ずかしいから嫌だ。
……あと、ちょっとだけ。
本当にちょっとだけ。
手触りがいいからという理由もなくはなかったり。
「あぁ、このサラサラ堪んない……」
後ろにおかしくなった君がいるけど気にしない。したら恥ずかしい事になるから。
「次!誰だー!」
「あ、はい!」
「あっ、もう……」
先生に呼ばれて出ていったボク。
撫でられなくなって残念そうな君。
これもちょっとだけ。
嬉しかったりする。
やっぱ、好きなんだなぁって思うけど、ボクは……。
はぁ……
言わなきゃいけないのに、ね。
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