理由と力と星空

24/29
前へ
/77ページ
次へ
不思議に思って横に座る真冬先輩を見ると、先輩は再び言葉を紡いだ。 ----しかし、彼等が降り立った『その地球』は『かつての地球』ではありませんでした。『その地球』は彼等を拒絶するかのように、彼等にかかる重力は空へと向いていたのです---- 「ちょ、ちょっと待って下さいっ!!それって……」 僕は真冬先輩の言葉を遮るように言った。 真冬先輩は予想していたように僕の言葉の答えを繋げた。 「そう……『天災』よ。」 後頭部をガツーンッ!!、とバットで殴られたみたいな衝撃を受けたみたいな、そんな錯覚を覚えた。 だが、おかしなことに気付く。 「でも……先輩が言ってるのは昔の話ですよね?じゃあ、僕らが知っている……てか、今まで僕らが普通に暮らしてきた『地球』は一体、何なんですか!?」 真冬先輩に疑問をぶつけると、先輩は静かに言った。 「それはこの後の話が説明してる……もう少し聞いて」 「は……はい」 ----彼等は悩みました。やっと手に入れた安住の地を、彼等は手放すワケにはいきませんでした。そこで彼等は若い天才科学者であり優秀な開発者であった『ゼウス』に希望を託したのです。ゼウスは重力問題を解決する為に様々な道具を開発し、それらは後に『ゼウスの遺産』と呼ばれました。そしてゼウスは悪戦苦闘の末、『カルマ』という重力を打ち消す物質を開発しました。そして彼等の血の中に『カルマ』を分散し、混入させました。それによって重力問題は解決し、『地球』には新たに『人間』という種族が生まれました。それから私達の祖先は再び地球を破壊するかも知れない技術を捨て、血族の掟を定め、それに従い、人間の世界に混じり暮らしました。しかし『カルマ』は今も私達の血の中で脈々と受け継がれ、この地球の均衡を支えているのです----
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加