強襲と混乱と邂逅

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「……ホント、お前って不思議な奴だな。秋山」 「なっ、なんスか?それ?」 いきなりの不思議っ子宣言に、僕は少し戸惑いながら答える。 「いや、なんつーか、お前ってさ。馬鹿だよな」 「はっ!?」 ちょっ!?次いでお前馬鹿だよな宣言ッスか!? ………………へこむ。頭を思いっきりぶん殴られて、頭の形が凹になったみたいな気分。言葉の暴力とは怖い。 「だって、フツーは無いぜ?いくら真冬が超絶美少女だからって、こんな御時世に死ぬかも知れない旅に出るわ、『ゼウスの遺産』を信じるわ、会ったばかりの俺らの話を信じるわ……ホント……」 ササメさんは僕の眼を見て、どこか遠くを懐かしむような声で言った。 「師匠にそっくりだな……たいして剣術も体術も強くないくせに、口が上手いワケでもないのに、誰も信じないような奴の話を無条件に信じたり、困っている奴を見たら、自らの危険も省みず助けにいったり……まったく、そっくりだよ、お前は。顔も、雰囲気も、どことなく師匠に似てるしな」 ササメさんは、また小さく微笑んだ。その笑みが、少し哀しげに見えたのは僕だけだろうか? 『ーーーーーーお願い~お願い~♪傷つかないで~♪私の心は~♪月に代わってお仕置きよ♪キラッ(輝)』 不意にインカムから桜花のふわっふわした声が流れ出した。 「はっ!?」 「ん、陽動作戦成功の合図だ……さて、行くぜ。秋山。気ぃ引き締めろよ」 間の抜けた声を漏らした僕に対して、ササメさんは大真面目な顔で言った。 成功の合図って……もっとこう、カッコいいのじゃないんですか? ってか、いろいろ混じってるし……。 「歯ぁ食いしばれよっ!!あんまりしゃべると、舌噛み切るからなっ!!」 ササメさんはゴーグルを下げると、キック一発でエンジンをスタート、アクセルを吹かした。 「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!」 そして僕の返事(悲鳴)を置き去りに、サイドカーはトップスピードで駐車場を飛び出して行った。
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