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僕も混乱していた。
叔父さんがササメさんの師匠?
なんの冗談だよ。
だって、ササメさんの師匠ってことは、真冬先輩の命の恩人で、血族のリーダーで、『ゼウスの遺産』を奪って、血族を殺して天災を起こすを手伝った裏切り者。
それが、僕の、叔父、さん?
「意味、分かんねぇ……」
僕は、呟く。
背中に気持ち悪い汗が流れた。頭がクラクラする。吐きそうだった。
そんな僕と対照的に、ハルカゼ叔父はこの世の全てを達観した仙人みたいな乾いた微笑みを浮かべていた。
「……何故ここにいる……」
ササメさんはハルカゼ叔父さんに、刺し殺すように鋭い視線で睨み付けると、感情を殺した無機質で、カミソリのように鋭い殺気を帯びた、低く、唸るような声で言った。
「何故……か」
しかし、叔父さんは普通の人間なら気絶してしまいそうなくらい凄まじい殺気にも動じず、視線を足下の道路にさまよわせると、まるで昔を懐かしむかのように呟いた。
「それはさ……約束なんだよ。約束を果たす為に僕はここにいる」
ハルカゼ叔父さんは顔を上げて、言った。
その顔には先ほどと同じく、乾いた微笑みが浮かんでいたが、どこか疲れたような印象を受けた。
「答えになっていないっ!!俺達の情報が漏れていたのかっ!!」
ササメさんは獣の雄叫びのごとく問う。
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