念頭

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夕日が照っている 窓とカーテンを ようやくすり抜けた光が 僕の元へ届く 部屋はほのかに明るい 辛うじて 光が見える 猫は窓の前に 耳を伏せてたたずんでいる 眠るのにそう時間はかかるまい 遠巻きに眺めていると 突然 部屋は白くなった 振り返ると弟が 電灯のスイッチの前にいる そしてにやけながら 猫のもとへ近づき 乱暴になでた 猫は怒ったように逃げ出した 僕はそれから 少なくとも夕飯まで ずっと不機嫌のまま なにもわかっていない弟は いつものように楽しそうに 友達の話をしていた
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