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「またあんたなの」
やってきた少女は、主の様子を尋ねた。
「えっと……もしかして怒ってるですか?」
「覚えてる? あたしが許可を出したらさっさと部屋に入れって、前にも言ったわよね?」
「え、それは……」
「言ったわよねぇ?」
「その……」
「言ったかどうか、あたしが聞いてるのよ! 答えなさい!」
「ごめんなさいです、覚えてないです」
「言ったに決まってんだろぉが、このウジ虫! 脳みそまでウジがわいてるんじゃねぇのか、グズ!てめぇあたしに何回同じことを言わせるつもりだよ!」
「ご、ごめんなさいです」
謝る少女。
しかし、この場合少女ばかりが責められるのも酷だろう。
確かに主は入室の許可を出していたかもしれない。
しかしそれは、部屋の中で頷いただけの話しである。
扉一枚隔てた相手にそれを察しろというのは、正直酷な話だ。
だが、そんな正論が通じる相手ではないということは、少女自身よくわかっていた。
彼女の主とはそういう人物なのだ。
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