マサ月

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  こんな風に呼び出されるのは今回で何度目だろうか。 自転車に跨がり、ボクはリス公、リッスリス公園に向かう。 あんな電話、無視してしまえばいいのに、電話越しでも分かるくらいに弱った声を聞いてしまえば、ほっとくことなど自分にはできなかった。 幼馴染みである月夜は他校生との喧嘩で、傷付いて動けなくなった時に、ボクを呼び出す。 いや、喧嘩だけではない。彼女が警察のお世話になる時にだって、ボクは代理の保護者として呼び出されることがある。 彼女の両親は共働きで、どちらも海外出張が多い。そのため、基本的に彼女は一人暮らしで、近くに親戚がいないから、消去法でボクに連絡が来るらしい。 前にクラスメイトに「マサ、月夜の母親みたい」とからかわれたが、的を射てすぎて、全く笑えなかった。 本当にどうしようもない幼馴染みだが、そのどうしようもない彼女からの呼び出しに律義に応じ、自分だけに頼ってくれることに嬉しさを感じているボクが一番にどうしようもないだろう。 そういえば、前にドラマで脇役の女が男を利用するだけ利用して、こっぴどくフッたシーンがあった。 その女は捨て台詞に「惚れた方の負けなのよ」と言ったが、今の状況を考えると、その通りだと思わざるを得ない。   はぁ、と自分自身に呆れてため息をつく。 そうして、ペダルを勢いよく漕ぎ、深夜の住宅街を駆けた。
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