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リッスリス公園に着いたボクは、入口に自転車を停めると、園内に走り込み、周囲を見渡す。
「いた――」
ベンチに寄りかかるように座り、携帯電話を握りながら、ぐったりしている彼女。
制服には泥や血が付着して、破れている部分もある。顔は同様に泥と血で汚れていて、殴られた痣もあった。
眠っているのか、気絶しているのか、目を閉じている彼女の姿は死んでいる、と錯覚してしまう。
まさか、喧嘩では敵なしの彼女が、ここまで酷い状態とは思わなかったため、一瞬呼吸が止まるが、すぐに我に返り、慌てて彼女にかけよった。
「月夜!!!」
と普段は大きな声を出すことはないが、異常事態だ。彼女の目線に合わせるためにしゃがみこんだ。
「おい、月夜!!」
服で隠れて見えない傷もあるだろう。不用意に触るわけにはいかず、声だけで意識があるか確かめる。
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