マサ月

4/5
前へ
/15ページ
次へ
  リッスリス公園に着いたボクは、入口に自転車を停めると、園内に走り込み、周囲を見渡す。 「いた――」 ベンチに寄りかかるように座り、携帯電話を握りながら、ぐったりしている彼女。 制服には泥や血が付着して、破れている部分もある。顔は同様に泥と血で汚れていて、殴られた痣もあった。 眠っているのか、気絶しているのか、目を閉じている彼女の姿は死んでいる、と錯覚してしまう。 まさか、喧嘩では敵なしの彼女が、ここまで酷い状態とは思わなかったため、一瞬呼吸が止まるが、すぐに我に返り、慌てて彼女にかけよった。 「月夜!!!」 と普段は大きな声を出すことはないが、異常事態だ。彼女の目線に合わせるためにしゃがみこんだ。 「おい、月夜!!」 服で隠れて見えない傷もあるだろう。不用意に触るわけにはいかず、声だけで意識があるか確かめる。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加