~必要な存在に変わる時~

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どうしよう・・・やっぱり私、来ちゃいけない所にきてたんだ。  「うん・・・最初にマサキさんに話してからね」 そう言って今は話を合わせることしか出来なかった。 出来るならこのまま嘘をつきとうしたい。 でもそんなの無理だよね・・・今日で最後にしなきゃ。 今までにはない一日を、いい想い出をつくろう。 夜も遅くなり部屋へと戻ったマユは、部屋から見える夜景を眺めていた。 そんなマユに静かに近寄るマサキは、何も言わずそっとマユを抱きしめた。 離れられなくなる・・・ 離れたくなくなる・・・。 マサキさんの胸の音が聞こえ、体の暖かさを感じた時、涙がとめどなく流れていった。 嬉しいのに悲しい・・・。 涙が止まらないマユを見たマサキは、また何も言わずマユの唇に・・・。  キスをした。 自然と目を閉じた私は涙が止まっていた。 マサキさんに私の今の想いを伝えたい。 出来ないとわかっているけど・・・。 これが最後と自分に言い聞かせながら、複雑な想いのまま私は、マサキさんの胸の中で眠った。
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