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僕は目を覚ました……。
いや、もしかしたらここはまだ、夢の一部なのかもしれない。
僕はなにもない真っ白な空間の中で目を覚ました。
「ここは……」
上を見ても、雲もなければ、青い空もなかった。
地上を見ても、自然も人工物もなにもなく、永遠と白い大地が続いているだけだった。
だが、自分の意識だけはしっかりとハッキリと残っていた。
しばらくじっとしていたが、この夢から覚めることもなく、また眠りにつくこともなさそうだから、歩みを進めることにした。
あれから何時間……いや何日も歩いたような気がする。
だが、いつまで歩いてもなにもなかった……。
「僕は……本当に孤独になってしまったのか……」
僕は何度もそう思った。
絶望の中、ただそれだけが頭をよぎり、歩き続けた。
だが、この悪夢にも終わりがきたようだ。
初めて僕の前に白以外の色が目に飛び込んできた。
それは黒い扉だった。
僕は迷わずその扉のノブを握った。
とにかく、この世界から一秒でも早く出たい一心で扉を開いた。
すると、扉の向こうから強い風と光が射してきた。
あまりにも強い風と光で僕は身動きが取れなくなった。
そして……意識が途絶えた。
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