白の世界

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
 僕は目を覚ました……。  いや、もしかしたらここはまだ、夢の一部なのかもしれない。  僕はなにもない真っ白な空間の中で目を覚ました。 「ここは……」  上を見ても、雲もなければ、青い空もなかった。  地上を見ても、自然も人工物もなにもなく、永遠と白い大地が続いているだけだった。  だが、自分の意識だけはしっかりとハッキリと残っていた。  しばらくじっとしていたが、この夢から覚めることもなく、また眠りにつくこともなさそうだから、歩みを進めることにした。  あれから何時間……いや何日も歩いたような気がする。  だが、いつまで歩いてもなにもなかった……。 「僕は……本当に孤独になってしまったのか……」  僕は何度もそう思った。  絶望の中、ただそれだけが頭をよぎり、歩き続けた。  だが、この悪夢にも終わりがきたようだ。  初めて僕の前に白以外の色が目に飛び込んできた。  それは黒い扉だった。  僕は迷わずその扉のノブを握った。  とにかく、この世界から一秒でも早く出たい一心で扉を開いた。  すると、扉の向こうから強い風と光が射してきた。  あまりにも強い風と光で僕は身動きが取れなくなった。  そして……意識が途絶えた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!