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きっかけは些細なことだった。
少なくとも、あたしにとっては。
おじいちゃんが金髪碧眼だったことも当たり前。お父さんの血縁にも、金髪碧眼の人が居たことも当たり前。
その特徴が、あたしにだけ顕れてしまったのも。
お父さんもお母さんもお姉ちゃんも、そんなあたしを綺麗だと言ってくれた。
それを誇らしく思ったし、少し寂しくもあった。
金髪、碧い目。それをコンプレックスに思わないようにしてくれていたのだろうことは分かる。
だけど、あたしの中に少しでも『皆と一緒がいい』と思う気持ちが無かったかと言えば、嘘になる。
仲間外れにされた気分にならなかったかと言えば、本当じゃなくなる。
実際は、あたしの家族は皆良い人で、世話焼きなおばあちゃん、しかめっつらのお父さん、よく笑うお母さん、喧嘩(主に取っ組み合い)ばかりのお姉ちゃん。皆があたしを――――あたし自身を見てくれていた。
ただ、うん。
あたしばかりを見すぎていたんだと思う。
周りに目を向けることを拒んだことを思えば、その優しさは真綿のようで。
その真綿はあたしの首を絞めていた。
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