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「……う~ん、まぁ適当に楽そうなやつをやるよ」
その場の流れで先生に仕事内容を聞いて、それで入ればいいだろう。
そんな素晴らしい怠け思考をしていると、花崎木葉は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「おやおや。蒼井くんは意外と怠け者のようですねぇ」
「怠け者とは失敬な。俺は妹の面倒を見るという大切な役目があるんだよ」
「お前の場合は面倒を見るというより、お前がただ愛でたいだけだろ」
「………………」
妹を愛して何が悪い。
「なるほど…。蒼井くんはシスコンなのか」
「そりゃもう類を見ないくらいにシスコンだ。こいつの防御から逃れないとまず妹には近づけない」
「うはぁ…。ものすごい独占欲」
「……うるさい」
まぁシスコンは自覚してるからいいけどさ。
だって夏菜が可愛すぎるのがいけないんだ。夏菜が可愛いから愛でたくなるんだよ。
「……そんなに可愛がるならぜひとも拝みたいものですなぁ。力ずくで」
「やめた方がいいぞ。幸人は妹のことになると戦闘力が通常の八倍になるんだ」
「おぉ……っ。それは中々に燃えるデータだねぇ。にひひひひっ」
『………………』
そのあとしばらくは花崎木葉の怪しい笑いが響き続け、結局午後イチの授業が始まるまでその笑い声が絶えることはなかった。
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