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……まぁいいや。
「それより、呼び方結局それになったんだな」
俺は教室に入って、委員長と一緒に自分の席に向かって歩く。
確か昨日は違った呼び方だった気がする。
「あ、うん。いやー、改めて考えてみたら『ゆきっち』って可愛すぎるかなって思ってね~」
「それで幸人殿か……」
「一番しっくりきたしねぇ」
「まぁ、だったらいいんじゃないか?」
再びすぐに反応できるかわからなくなったが。
俺はカバンを机の横にかける。
「そういえばさ、幸人殿と瀬山くんは知り合いなの? いつも一緒にいるけど」
「あぁ……。あいつはただの腐れ縁だ。小学校ん時からのな」
「ほぇー。すごいねぇ」
「実際すごかねぇよ。さすがに九年間も一緒だと面倒だぞ」
実際これだけ長い時間一緒にいると、お互いに性格から癖、苦手な話までわかるようになってくる。
正直めんどくさい。あいつは同じ話しかしてこないし、こっちは弄るしかない。もう本当にめんどくさい。
「でも一緒にいるよね。それってやっぱり、二人ともお互いを思ってるからだと思うよ」
委員長はそう言って遠くを眺めるように見た。
どこを見ているのかはわからないが、遠くを見ている委員長はどこか悲しそうだった。
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