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「蒼井さんはどこの中学からここに?」
「えーっと…北崎中学からですね」
ちょうど俺の家から見て、この学園の反対側の普通の学校。
昔は荒れていたらしいが、今はそんなことはなき、ごく普通だ。
特徴がないから恐らく定番であろう『お前どこ中だよ?』『ニコ厨だよ』『なん……だと……?』という会話はまず生まれない。
どこ中だよ、と聞かれて答えても、知らないと返されて終わりだ。
もう少し特徴が欲しかったなぁ……。生徒会長がオネェとか。
「そうですか。ここを選んだのはやっぱり自宅から近いからですか?」
「えぇ、まぁ……」
実際道は反対になったが、距離的には全く変わってないからな。それが選んだ理由の一つでもある。
そんな話をしていると、いつの間にか事務室的な場所に着いていた。
「それで……話っていうのは?」
「あ、そうでした。とりあえず蒼井さん。中に入りましょう」
「……はい」
俺は先生に言われるままに事務室的な場所に入った。
「あら…? どうして私たちはここに来たんでしょうか?」
「体育祭について俺に話があるんでしょうっ!?」
「あ、そうでしたそうでした。うっかり忘れてしまいました」
そう言って先生は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
………なんだかこの人天然な気がしてきたなぁ…。
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