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「まぁ待て幸人」
しかし先に行こうとした俺の肩はこいつに掴まれる。
「放せ。でないと俺の拳が火を噴くぜ?」
「そう怒るなって。俺とお前の仲だろ?」
「やかましいわ。どんな仲だよ。説明してみろ、瀬山」
「言葉じゃ説明できない仲さ」
こいつは瀬山大地。アホと変態を掛けて二乗したようなやつだ。
ただ唯一の売は写真の腕だけ。まぁそれも美少女を盗撮紛いの手段で撮ってるせいで無駄になっているが。
こんな奴が俺の幼馴染みだというのが、俺最大の汚点だ。
俺はそんな汚点の原因と一緒に行く気もないので、そのまま歩き出した。
「それじゃぁ、またあとでな」
「って先行くのかよっ!」
「え、だって遅刻するし」
「いや、今のノリ的に一緒に行こうっていう場面じゃないの!?」
「誰がお前みたいなうるさい奴と一緒に行かなきゃいけないんだよ」
「そう言うなって。俺とお前の仲だろ?」
「………………」
俺は無視して歩き出す。
「って話くらい聞けよ!」
俺は無言で走る。
「あ、ちょっ! 待てって!」
瀬山も追いかけてくるが、俺は引き離す勢いで走る。
結局、そのまま学校まで全力疾走の追いかけっこは続いたのだった。
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