プロローグ

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    ○ ○ 「ハイハイみなさーん? 入学おめでとうございまーす」 入学式を終え、事前に知らされていた自分の教室で高校初のHRが行われる。 「式でも紹介がありましたが、私の名前は成宮香穂と言います。私も今年から採用された新任です」 教壇に立っているのは、とても綺麗な女性だ。 アップに纏めあげられた艶のある黒髪に長身で、どこかの雑誌のモデルと言われても信じられる程に整った容姿。 無駄に大人びた様子もなく、逆に母性と子供っぽい雰囲気を行き来しているのが尚良い。 「何か質問がある人はいますかー?」 『先生! どこにお住まいですか!?』 『先生! 連絡先を!』 『先生! 付き合ってください!』 『先生! 愛してます!』 …………………。 このクラスの男子はみんな男子だった。 この分じゃ女子も女子のは──── 『せ、先生! 何部の顧問を?』 『私、先生の部活に入りたいです!』 『女の子同士って…ありですか?』 『先生! 愛してます!』 ………………。 このクラスの女子は、バカばっかりだ。 「はいはいみなさん。落ち着いてください。個人的な質問はあとでじっくり聞いてあげますから、HRを続けますよ?」 先生が仕切り直し、再びHRが続けられる。 学校は、賑やかだ。
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