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「きゃあぁぁぁぁ!」
女性の悲鳴というより人間の悲鳴が村に児玉する。
「くっ、少し遅かったようです」
随分と使い古した甲冑を装備した中年のように見える男は、団長らしき人物にそう言うと、
「仕方がないな……まず人命を優先し、各員各個撃破だ」
十数名はいる団員達は一斉に頷くと各々で村人の救出へと向かった。
「おい傭兵共、お前達は魔物の撃破を優先しろ」
傭兵共で括られた人達は三人いた。その中にカイムもいた。
「了解」
それだけを返答にだけ用いると前方にいた魔物に装備していた剣や槍といった様々な武器で立ち向かう。
(今回の魔物はコローパンサーとグレムリンか……ちょっとは生活費の足しになるかな)
カイムは頭の中で魔物の素材を売ると、どれだけの額になるか計算しつつ戦い始めた。
コローパンサーは中型の猫のような体をしており、性格は非常に狂暴で非戦闘員では立ち向かえないぐらいの強さである。
一方グレムリンは悪魔のような姿をしており、三つ又の槍を持ち、火を吐いたりする。しかし小型の悪魔なのでそれほど脅威となる魔物ではない。
「まずは一体撃破と……」
カイムは鋼で鍛えられた長めの剣と鋼よりは少し強度の増す鉄と鋼の混合で出来た短めの短剣で戦場を駆けていく。そこはつい先程まで平和な村だった場所であった。
「団長、人命救出に成功いたしました。これから掃討戦を開始いたします」
分かったと答えると団長は太めの大剣を背中から抜き、構えを取った。
「我等、誇り高き“森音騎士団”はこれより掃討戦を開始する。各員進めぇぇい!」
団長の号令の下に団員達は魔物を掃討していく。傭兵として雇われていたカイムを含む三人は関係なさそうに目の付いた魔物を殺していく。
「これで五体仕留めたな。素材もかなり集まってきたしこんなもんでいいかな」
とどめ用の短剣を腰の後ろにしまい、鋼の剣を腰の左にかけてあった鞘にしまった。今回の戦績はコローパンサー三体とグレムリン二体だった。
「あーくそ、逃がしちゃったよ」
弓矢と剣を巧に操る背の小さい男の子はグレムリンを逃がしてしまったらしい。
「ルー、お前何体殺ったんだ?」
ルーと呼ばれた男の子は左手で三体と元気良く表した。
「どうやら森さんも掃討戦終わったみたいだね」
このようにして騎士団と呼ばれる武器を持った人間達が戦う術を持たない人々を守るため、日々戦っているという訳だ。
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