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「龍殺しのカイムってあの傭兵の……ですか?」
ジュリアもカイムの事は少しだけだが知っていたようだ。
「……ルー、帰るぞ」
カイムはすぐさまその場を去ろうとしたが、団長に引き留められてしまう。
「待ってください!」
腕を掴まれたカイムは振り払おうとしたが、止めた。相手は女性だということを考えたのだろう。
「私は、アイリス・シルヴァリアといいます。この“氷影の騎士団”の団長を勤めています。あなたにお願いが……」
カイムはすぐに口を開いた。
「断る」
「まだ私は何も!!」
「まだ小さいこの騎士団を有名にするためには討伐戦で名をあげなければならない。そのために俺を利用するんだろ?」
図星。アイリスは前々から龍殺しのカイムには目を付けていた。傭兵である彼を騎士団に引き込み、剛龍討伐戦で名声を轟かせようとしていたのだ。
「そ、それは……」
「俺と変わらないあんたが騎士団を率いているのは正直尊敬する。力を貸してやりたいが古龍には手を出さないほうがいい。あんたらの騎士団では古龍を目の前にして武器を握り、戦える姿は想像できない」
そう言うとルーを連れてカイムは町を目指して歩きはじめた。
「古龍討伐戦は三日後の古城イシュタードで行われます。そこでまたお会いしましょう」
アイリスもそう言うとカイム達に背を向けて歩き出した。
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