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『今からてめぇらには王様ドッジボールをやってもらう』
馬鹿にされて腹がたったのか、急に放送主の口が悪くなった。
聡「短気な神様だな」
秀紀「・・・うん」
実祈「だね」
『・・・』
聡「それに、なんで王様ドッジボールなんかしなきゃなんねーんだよ」
放送主はオレの質問に答えはしなかった。
『・・・これより、リアル王様ドッジボールを始めます。ルールは簡単。相手チームの王様にボールを当てたら勝ち』
さっきまでとは違い、急に機械的な喋り方になった。
聡「リアル・・・」
実祈「王様・・・」
秀樹「ドッジボール?」
聞き慣れないその言葉に、首をひねる。
六年生「・・・おいっ!ふざけるのもいい加減にしろっ!なにがリアル王様ドッジボールだ!」
『ボールはこちらが用意したものを使ってもらいます』
六年生の怒号をことごとく無視して、放送主は淡々とリアル王様ドッジボールなるもののルールを述べていく。
『もちろん当たった人には“外野”に行ってもらいます』
外野?いや、それより。
ここでようやく、オレはおかしな事に気づいた。
・・・こいつはどこから放送しているんだ?
放送室は一階の端にある。そして、この四年教室は2階だ。声なんて聞こえるはずがない。
でも、この放送の主は明らかにオレ達と会話をしている。
相手が一方的に喋っているのならともかく、オレ達とちゃんと会話をしているなんて不可能なはずだ。
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