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「oasisの『wonderwall』って曲聴いたことある?」
「ないね。俺は基本メタル一筋なんでね」
「うーん。毛嫌いはよくないな。私はなんでも聴くよ。日本の曲から韓国の曲までもね」
「お前の守備範囲の広さには感服するよ。で、今回はなんの用だ?」
「そんなことより、oasisについて語らせてよ。最近スッゴク嵌まってるんだから」
「だから、言ったろ!俺はメタルしか聴かねぇってよ!!」
「昨日アルバム買ったんだよ。これがまたいい出来でさ、前作より少しロック調を押し出した感じだけどさ私は嫌いじゃないね、それでね……」
「用無いなら帰るぜ、俺は」
「ま、待ってよ。」
「早くいえ。どうせ処理かなんかだろ?」
「ご明察!」
「何人やった?」
「一人」
「ほぅ、今回はやけに少ないんじゃないか?」
「最近は、周期も不定期でね。殺す気分じゃ無かったんだけどさ。深夜のコンビニで拐われちゃてさ。気付いたら山奥の倉庫でグルグル巻きだよ」
「職業柄あんだけ注意しろって言ったのによ」
「たまに無いかな~。涼しい夜風にあたりながら美しい音楽を聴きたいって」
「ないね。お前は吟遊詩人かよ」
「あはは、『ボヘミアン・ラプソディ』だね」
「何がそんなに可笑しいんだ?」
「いやいや、なんでもないよ。少し思い出し笑い。じゃ、用件言うね」
「ヘイヘイ」
――だから、眠いんだよ。
不思議ちゃんを自室に閉じ込めること はや一時間。
夢魔が帰ってくる前に
こいつをどうにかしなければならないのだが…。
「帰れよ」
「幾何学的な因縁が私とあなたを結び付けた。…で、いい?」
「駄目」
「同棲?」
「違う。家に帰れ」
「ここ」
「は?」
「間違いのない事実を的確に言うと、私は家無き子」
「ざけんな」
「誤る」
「字が違うだろ」
「謝る」
「じゃ、帰れ」
「あれ?見事に説得したつもりだったのに…」
「アホかっ!」
ポカッ
「痛っ……」
「あ、すまない。強くやり過ぎたか」
「……くない」
「もう、一発いくか?」
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