銀色の空

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『ファック』や『レイプ』などのいわゆる卑語が 飛び交うライブハウス。 ぼぅ としたぼやけた色とりどりのライトが薄暗い空間を彩る。 薄汚れた入口。 チラシや煙草のごみ、 中には使用済みのコンドームまで散らかっている。こんな人混みのなかで ヤっても 気付かれないのだろう、エロゲでよく題材とされる満員電車での 凌辱の方がよっぽど 発見率は高いんじゃないかと、ふと思う。 しかしまぁ、狂っている。メタルが好きな人種の方なら理解頂けるであろうか、ライヴでは何でもありなのだ。 かの ウッドストックでは、乱交やドラッグの密売、果ては出産なんてあったくらいだ。 私は静まり返ったライヴハウスを後にした。 今日は随分楽しめた。 最近のロックは生温いイメージがあったのだけど、これで一払できた。 なにも変わらないのが 幸せ。 大切な人との日々が 続けば、それで満足。 でも、そううまくはいかない。 視聴者が非日常を求め、 バトル展開を期待してるように、物語は勝手に 回り始める。 知らぬまに、歯車は動きだし、気づけば止まらぬ勢いでフル回転だ。 そんなものさ。 思い通りに進む物語は 存在しない。 「消えるもの、生まれるもの、その数は等しく、プラスもマイナスも決してない」 「どうした?」 不思議ちゃんは僕の ベットでまるで天体観測してるかの如く両手を筒状にして星なき空…天井を眺めている。 この少女には何かが 足りない。 こんな厄介事が続くようじゃ、僕の気が滅入ってしまう。 何かしらアクションを 起こすべきだ。 なら…… 「なあ、唐突に悪いが、どこか遊びにいかないか?」 「………」 「聞いてる?」 「……遊ぶ?」 「うん。リクエストがあれば言ってくれ」 「………プラネタリウム」「プラネタリウム?」 「うん」 「わかった」 どんな事でもいい。 厄介事を早く片付けなければな……
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