切なさは星屑と共に

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幻想的な時間は 夢のように過ぎた。 気づけば僕らは 本物の星空の下にいた。 「今日は楽しかったな」 「そう……だね」 何か友永の頬が赤らんでいるように見える。 「ありがと」 「ん?何か言ったか?」 ! 居なかった。 友永は居なかった。 「ん?これは……」 可愛らしい猫の柄の 便箋が落ちてあった。 拾い上げ、差出人を 確認すると…… 「……友永」 中には一枚の手紙が 入っていた。 『ありがとう。私を見つけてくれて。本当にありがとう。大好き。そして、さようなら――』 涙。 理由なんて分からないくらいに、僕は少女の事が好きだった。 それだけ、ただそれだけの事が切なく、悲しかった。 ひとりぼっち、星空の元で、ひとりぼっち。 涙の後の幸せなんかはたぶん、訪れないだろう。 永遠に……… いない少女はいなくなった。 いたことも全ていなくなった。 でも、幸せだった。 ――ありがとう、遊くん。 「なんだっけなこの手紙」「うにー、黒やぎさんからのお手紙かな?」 「なわけねーよ」 机の隅っこにおいてあった、誰からもらったか 記憶にない手紙。 「うわー、これラブレターってやつだよね!!」 「返せコラ!」 いずれ思い出すのだろう。 記憶のない記憶を。 一章Fin.
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