《自殺志願のお姫様》

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「食器はここらへんでいいかな?」 「ああ、適当で構わないぞ。俺以外に家族いないしな」 「無魔ちゃんは?」 「ボーイスカウト。ガールかな、ま、どちらでもいいかな」 「ふーん、ってことは家には私と游弌だけってこと?」 「……そうなるな」 実はもう一人いるんだがな。 『私を忘れてないかな、游くん?』 「忘れてた、きれいさっぱりに」 『むー、ひどいよ~、ただでさえ一章じゃ影薄かったんだから、二章じゃきっと私にスポットライトが当たるわよね』 「あたらんよ、きっと」 『ひどっ!!あー、私はなんて酷い扱いなんだろう、これじゃ出落ちだよ。ただの少女の幽霊だよ。一章の子も幽霊っぽい存在だったらしいじゃない。被ってるよ、ほんとに可哀想なキャラだよ……』 「まるで、リュ◯クだな」『それは言っちゃだめーっ』 食器洗いを済ました僕らは、居間でくつろいぐことにした。 「ねぇ、游弌。」 「なんだよ」 「何か面白いことしてよ」「面白いこと……ねぇ」 「例えばね、今雨降ってるじゃない」 「それがどうかした」 「ここに、柄の無い傘がある」 「唐突過ぎて意味不明だが、まあいいや、で?」 「これを差して町を散歩する」 「僕に恥をかけと?」 「えー、面白いと思うのになー」 「僕は面白いとは微塵も思わない」 「じゃ、何か楽しいことして?」 「うーん………映画館とかは?今日水曜だし」 「レディースデイだね。うんうん、いいねいいね。」 「行くか?」 「行くッ!!」 ソファーベッドから飛び出し、玄関に走り出す魁夢の後をゆっくりと 着いていく僕であった。
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