九月六日

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その蹴りは簡単にコンクリート壁を貫いた。 「避けるな」 「フザケンナ」 無惨にも粉々になったコンクリートを見て冷や汗を流す。 「アンタ本当にお巡りさんかよ?やることなすことメチャクチャだ」 その言葉に海岸は鼻で嗤う。 「無茶苦茶だ?どっちが無茶苦茶だ。 法律破って人を殺す奴に言われたくねぇし。法律を破った奴に俺は法律を守りながら戦うつもりはない」 軽く足を踏み込んだだけで海岸の体は宙に浮く。 「メチャクチャだ……」 かかと落としの容量で縦に回転しながら 落ちる人影になす術もなくトオマは後ろへ跳ぶ。 予備のナイフを袖から滑らすように出し、両手にナイフを握る。 地面に着地した瞬間に海岸にも負けない勢いで飛びかかり、ナイフの切っ先を海岸へ向ける。 その凶器に対して海岸は躊躇なく右足で突くように蹴りを放つ。
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