九月六日

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「リストカット事件を知ってるな?」 終わったとばかりに思っていたトオマはその言葉を聞いてスイッチが入ったように 気を取り直す。 「アンタも追ってるのかよ、その犯人……」 手を支えにして体を起こす。 「その犯人を殺そうとしてるんだって?」 「ああー。やっぱヤメるわ。なんか変な奴ばっかこの事件に関わってるし、相当曲がった予感がしやがるし、いや歪んでんのかな?」 頭の中に残るある男の画がよみがえった。 「テメェはテメェでいろんな情報持ってんだろ殺し屋。署まで連れてってやるから手出せ」 拳銃を眉間に押し付けて胸元から手錠を取り出す。 「はいはい。わかったから拳銃を向けんじゃ……」
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