九月六日

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「テメェこそ変わらねぇ'顔'しやがっていい加減その仮面を外しやがれ」 海岸は先ほど使っていた拳銃を構える。 「俺に拳銃は聞きませんよ。知ってるでしょ?」 「オイ狐の兄ちゃん」 空気を読まずにトオマが2人の間に割って入る。 「なんだ」 「とりあえずいきなり登場すんなよ。 ただでさえ強そうな帽子のお巡りさんが来て、今度はそれより強そうな奴が出て来てよ、古臭いバトル漫画よろしくそんな面白くないことすんなっての」 狐面は相変わらずの無表情な顔をトオマに向けている。 「命の恩人にそんなことを言える立場か?」 「あン?別に命なんざ助かってねぇよ。 捕まったって脱走できた」 「揉め事を処理してやってるんだ。ありがたく思え」 「生憎と揉め事大好物なんだよ」 そんな2人の会話を銃声が止める。 「わかった……とりあえずテメェ達2人ともムショにブチ込む」 瓦礫の中から長身の体をゆっくり起き上がらせる。 「通りす狩り屋。オマエには聞きたいことがある。さっさと逃げろ」 「俺に命令すんな殺すぞ」 トオマはまだストックしていたナイフを取り出す。 「もうウンザリだ……。訳のわからないお巡りも、訳のわからない仮面野郎もとりあえず全部壊す。頭の中の整理はその後でいい」 いつの間にか一対一対一の形になりつつある状況に狐面の男はただただため息をつく。 「やれやれ面倒だ……」 この後すぐ、溝鼠が立て掛けている鉄パイプを倒した音により三人の戦いが始まってしまうのだ。
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