九月六日

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その言葉が狐面からもれた後すぐである。 二人の足場である鉄骨がバランスを崩し始めた。 「忘れてませんか海岸さん……」 傾き続ける鉄骨の上で狐面は悠長に語る。 「オマエ達ッ!?」 不意に海岸は下を見る。 「化け物ならもう一匹いますよ……」 見えたのは持ち主の小柄な身長を越すほどの馬鹿デカイ『鎌』である。 そいつの口の動きを読みとる。 『ざまぁみろ』 と確かにしっかりと言った。 「いい仕事だ。通りす狩り屋」 海岸と狐面は視界の世界が90°傾いたまま 地面に向かって落ちていった。
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