九月六日

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10分前 ーーーーーーー 「作戦はあるんだろうな兄ちゃん」 トオマは先ほどの化け物じみた海岸の身体能力を想定し、どのような手順なら勝てるのかを考えていた。 しかし、あの海岸を倒す方法というのは思いつかなかった。 「簡単な話だ通りす狩り屋」 狐面は左手で右手の黒い手袋を外す。 そしておもむろに周りに落ちていた鉄パイプの束を掴んだ。 それは電気と電気がぶつかり合いバチバチと火花をような音を立てる。 一つ一つのパイプがもともとはそのパーツであるかのように入り組み、外れ、捻じれ、食い込み、傾き、洗礼され、研ぎ澄まされ、光沢を出し、整っていく。 「なっ!?」 出来上がったのはトオマの身長を越える大鎌であった。 「兄ちゃん……。『空想者』だったのかよ。しかもなんで俺の商売道具をアンタが知ってんだよ。それもなんかの力か?」 「『眼前の死神』。『死線』(デッドライン) 。『風神宴鬼』(フウジンエンキ)。殺し屋が有名人なのも考えものだな」 それを言われて「うっ……」とトオマは目を逸らす。 「そんなことはどうでもいい。通りす狩り屋。 オマエにはこのビルを指示した時間に下からダルマ倒しのようにスッパリと切って欲しい」 狐面はトオマに大鎌は手渡す。 image=452172456.jpg
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