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「僕が言ってるのは1日にって事ですよ」
「今日もう一回来るかもって?」
先輩一度回転イスの動きを止めて僕を見る。
「あくまで予想ですけれど。……それに」
「ん?」
「夢……みたんですよ」
「!?」
先輩が椅子から飛び降り、僕に詰め寄ってくる。
「ウソウソ!?マジ!?マジ!?」
目をキラキラさせる先輩だった。
普通なら可愛らしいポイントなのだが
彼女は推理小説のような人間が人間を、
種族が種族を殺すという非日常。
猟奇事件のような何か意味ありな殺しがある非日常。
完全犯罪をやってのける未解決事件。
つまりは非日常が
大っっっっっっっっっっっっっ好きな
ど変態なのだ。
事件を追うために現場までいくような、
ネットワークを利用してハッキングまでするような、
死体に魅せられた。
事件に魅せられた。
総じて非日常に魅せられた少女。
「歪んでるよなぁ」
「ほらほら今は夢の話だよ!場所は?時間は?どんな顔?殺され方は?やっぱ手首かな?ねぇねぇ!だんまりはよくないよ?健康に悪いよ?さあさあ速く速く!時間もないんだし!うん!とりあえず落ち着こうジュッチー!まだ少し混乱してるんだよ!そうだよ!待ってていますぐお茶をいれるから!!」
「アンタが落ち着け」
説明ばかりで申し訳ないんだが……。
なぜこの先輩がこんなにも喜んでいるのかというと、僕の夢は正夢になるからだ。
とは言っても正夢になるのはある事に限られるのだ。
「あう!チョップしないでよ~。
別にいいじゃん。誰に殺されたか教えるだけでしょ?」
「そんな〈君の血液型何型?〉みたいな軽いノリで聞かないでください」
正夢になるのは殺人現場。
僕は毎回夢の中で被害者役を務める事になっている。
起きて新聞を見れば同じ場所で殺人事件が起こっているという本当に誰も得をしない能力である。
こんなあり得ない事を信じるのは全世界でこの島ぐらいだ。
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