テ首CUT

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「わかったのは二つ。 この事件には【空想者】(クウソウシャ)が絡んでいるってこと」 説明ばかりで本当にすまない。 でも始まりというのはそんな物だろう? 君たちにとってこれらは未知なのだから。 空想者。 それは歪んだ人間の最後に向かう所だ。 超能力というにはあまりに無残で、 化物というにはあまりに無慈悲。 幽霊というにはあまりに存在していて、 妖怪というにはあまりに人間的。 それはまるで絵空事のような物。 例えば空を飛べる超能力があったとして、 それを繰り返す内に、一つ疑問が浮かぶ。 もし今から下に向かって落ちたらどうなるのか? 不意に、突然に、なんの前触れもなくそう思うのである。 もちろんそれを自分で行えば死んでしまうから意味がない。 そうだ。代わりの人を使おう。 1000年生きた仙人。 不意に思う。唐突に、そろそろ死のうかなと。 押すなと書かれたボタン。 開くなと言われた襖。 目の前で倒れそうなドミノ。 人から外れた者にはなんらかの飽きがあり空きがある。 またこれを考え方の差。思考のヅレ。 【歪み】と言ってもいい。 禁忌(キンキ)と呼ばれる物に強く魅せられるのだという。 アニメに出てくるような異常な能力者達。 彼らがもし本当に存在していたとして似たような事にはならないのだろうか? レーザービームで山を切れるのか? どれだけの火力があれば家は焼ける? 水1㍑で何人殺せる? 人は何ボルトで感電死? 体の一体どこから湧き出るかわからない好奇心とでも言うべき不確かな感情。 空想者とはつまりそのような者だ。 元より人から外れた 力、性質、体質、性格。 それらが突然何かの拍子に歪み 本来の力を間違った方向に突き進んでしまった者達。
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