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だから、と僕は言葉を続ける。
「赤ちゃんは守ってもらうために何もしないんだよ。必要な時期が来るまでなるべく時間をかけて親に面倒事を任せるように」
「なんだかそうやって考えると赤ちゃんが怖く見えちゃうね……」
沙柚は苦笑いをして言った。
「人間が一番怖いってよく言うだろ?まさにこの事だよ。誰かが言った通り人間が感情を持つ唯一の動物だというのならそれは進化と同時に退化をも担ってるってことだ」
で、とさらに追加
「君の質問に帰ってくるけども」
「だいぶん遠回りしたね」
もっともである。これだけ虚言を繋げる事など無駄な行数甚だしい。
「殺人をどう思うのか……。僕は当たり前だと思うよ。始まりから歪んだ人間どうしが成長して、面倒事を押し付けあって、
お互いに依存し合えば必ずどこかは腐って堕ちるさ。だから空想者みたいな異常能力者なんていうのがいる事も僕は当たり前だって思うよ」
淡々と感情のない虚言を並べる。
「そっか。うん。潤くんらしくて潤くんらしくないいい答えだね」
気がつけば沙柚はなんだか微笑んでいたそんな楽しい事を話した覚えはないんだけど。
「まあ、だからって殺人をいい事なんてのは微塵も思わないよ。当たり前だとは思うけれどそれとこれとは別だ。そんな禁忌は起こしちゃいけないのさ何があっても」
「うんうん。潤くんらしくて潤くんらしいよ」
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