手NECKギリ

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まずはその危ない自宅に帰宅しようと 一歩前に進みのれんを潜った。 店の中はガラスケースがいくつもあり 中には0の数がおかしい包丁から庶民用の安い物が並べられている。 もちろん僕はこんな危ない物を買いに来た訳ではないのであまり思う事はなく さらにその奥へと足を進ませる。 「おや。潤。おかえり」 その奥から若い爽やかな男性が現れた。 背が高く、鬱陶しい後ろ髪は後ろで纏めて括ってある。 パッと見歳は20前後に見えるこの人は 大神 啓(ケイ)は僕のお義父さんである。 「ただいま。啓さん」 啓さんはここの11代目店長である。 僕の育ての親であり、尊敬する人である。 「潤。また勝手に材料を使ったんじゃないか?」 バレてましたか……。 「言ってくれたら貸すんだから勝手に盗るのはやめなよ?」 「すいません。最近オリジナルのナイフを作ってたから借りたんですよ。余りの在庫からとったんですけどダメでしたか?」 啓さんはジー……っと僕の目を見る。 「潤。それ変な事に使うなよ?」 「大丈夫ですって。趣味程度ですから。 やだなあ僕を中二病扱いしないでくださいよ」 「中二……なに?」 さすがにネット用語はわからないか……。 いや、まあ僕も詳しい意味は知らないんだけど。 「オマエがワガママ言うから投擲だって教えたけど……。今思えばあれも教えるべきじゃ……」 啓さんは自分のしたことに後悔しているようで一人で唸っている。 「だから大丈夫ですって。今までだって何も問題起こさなかったでしょ?」 啓さんはうーんとまたしても唸る。 「それじゃあ僕は仕事の仕上げをしたいんで地下の仕事場借りますね」 逃げるように僕はその場を後にした。 「まったく……。仕事してるところなんかたいして見せてなかったのにどうやって覚えたんだろうね」
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