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「オマエもなかなかの腕になったな」
知らない間に啓さんが階段のあたりで僕を見ていた。
「まあ啓さんから教わった技ですから」
「そっちもだけど俺が言ってるのはそのオリジナルナイフの出来栄えだよ」
僕の近くに寄ってきた啓さんはおもむろに二本の内の一本を手に取り色々な角度で観察する。
「これだったらこの店も任せられるな」
笑ながらそう言う啓さんはどけか寂しそうに見えた。
「何言ってるんです若いのに」
啓さんは苦笑いしながら応えると手首だけで軽くナイフを投げた。
ナイフは頭の少し上をギリギリ当たらないように壁に刺さった。
「当たらないよりも、当てないことがこれまた難しい」
「お見事」
パチパチと軽く拍手をする。
何度見ても惚れ惚れさせられる。
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