リスト斬

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僕はニュースを見てすぐに携帯を取り出した。 電話帳のサ行から沙柚の名前を必死で探しながら食卓の部屋から出た。 先ほどの階段から左に進んだ道とは逆の 階段から右に曲がったつきあたりが僕の部屋だ。 ドアを勢いよく開けてから入ってすぐに鍵をしめる。 同時に沙柚という文字が視界の端に見えて 急いで電話をかけた。 先輩にもかけたいけど、今は沙柚が先だ……。 「出ろ……出ろ……出ろ」 『もしもし潤君?どうしたの?』 沙柚は電話に出た。 まったくこちらは焦って必死だというのに呑気な声を……。 「はあ」 落ち着け僕。僕が焦ってどうする。 「ニュース……見た?」 『え?見てないよ?なんで?』 「そっか……」 僕はまた深呼吸をしてから 「立川君が死んだ。いや……殺された」 『え…………』 ………………。 『ごめん。えと、え?殺されたって、 なんで?わかんないよ……どういう……』 あきらかに動揺している。 「沙柚。落ち着いて聞いてくれ。今日、立川君は学校を休んでただろ?恐らくもうその時には殺されてたんだ」 落ち着けとは言ったものの。とうの本人が一番落ち着いていないんだよね。 『でも……。殺されたって、誰に?』 「……リスト・カット事件の犯人だ」 自分のベッドに座り込む。 『潤君……。私怖い』 声が微かに震えている。 「だろうね。で、僕はどうすればいい?」 『……今、会える?』 「あたりまえだ」 僕は立ち上がり、首と肩で携帯を固定して、学校のバッグの中に適当な着替えをつっこむ。 「先輩に連絡をとるから。すぐに行くから待ってろよ?」 『うん』 僕は電話を切って次に先輩の名前を探す。 ……………………………あ。霧雲だ。 先輩、先輩と呼んでたから名前を忘れるところだった。
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