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沙柚の部屋の前に着いて、
沙柚がドアノブをゆっくりと開けた。
なんとも普通で女の子らしいと言うべきか
部屋には机とベッド、ベッドには可愛いらしいぬいぐるみが置かれていて
机には優等生を思わせる参考書が並べられている。
ガチャンと僕の後ろで扉が閉まる音がした。
そこには扉を閉めて、鍵をかけている
沙油がいる。
「ゴメン……潤……クン。もう……限界かも……」
沙油は体を左右に揺らしている。
ゆっくりとこちらに歩いて来ると思えば
次の瞬間、僕に飛びついてきた。
プロレス技かよ……。
と、思う暇もなくベッドの上に乗っかる。
もちろんマウントポジションをとられて動けない状況だ。
飛びついて来た沙油の顔を見る。
その顔は真っ赤で目は潤んでいる。
恍惚とした表情で口元からは鋭い八重歯が見えた。
僕は焦るでもなく無表情で彼女の頭に手を置いて一言。
「いいよ」
と言った。
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