迷探偵

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「はぁ。時代ってやつかな……」 なんてちょっとカッコつけてみたりする。 違うんだよなぁ。 僕が求めてるのはもっとこう…… 王道真っしぐらな感じでいいんだよ。 変に歪んでなくていいからさぁ。 「それならこれがいいんじゃない?」 僕が一人で唸っていると横から女の子の声がした。 当然振り向く。 その女の子は僕に向かって本を差し出している。 背の低い僕よりも小柄である。 細い腕と色白な肌からきゃしゃな体なのだと推測する。 全体の髪は短めだが、前髪は少し長く伸ばしていて目元が見えにくい。 顔つきは幼い。 歳はおそらく僕と同じぐらいだ。 「ア、アナタは……生き別れになってしまった姉さん!」 図書館ではお静かに。 「え?いや、人違いかと……」 そりゃそうだ。そんなドラマみたいな展開あってたまるか。 「すいません。初めて会う人には大抵こんな感じなんで気にしないで下さい」 「はあ……。なんでまたそんな事を?」 「個人的にあんまり人と関わらないようにしてるんですよ。ギャルゲーよろしくどんな出会いが後の超展開に繋がるかわかりませんから。だからさっきみたいな対応したら、『あっ。こいつヤバイ奴だ』ってなって自分から離れてくれるじゃないでしょ?」 「そうなの?じゃあ私みたいな場合は?」 「とりあえず保留という形でお願いします」
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