迷探偵

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女の子は軽く首を傾ける。 「って、もしかして僕さっきしゃべってましたか?」 「いえ、何となく見ていて 『私が読みたいのはこんな本じゃない?』って顔してたから」 ほう。その観察力はすごいな。 「あの……。ひょっとして余計でした?」 僕がなんの反応も見せなかったのを見て慌てていた。 「いや、ありがとう。えっと……」 名前は…… 「純です。神楽沢 純(カグラサワ ジュン)っていいます」 「僕は大神潤。よろしく」 僕は無表情だな彼女はどこか驚いていた。 「ジュンって言うんだ!すごい!」 図書館ではお静かに。 「まあ、ありふれた名前だよ。漢字もたぶん違うし……」 「潤君ってもしかして運命とかを感じない人?」 いきなり下で呼ぶのか……。別にいいけど。 「そんなのを感じたことはまだないよ。 そういう純はあるのかい?」 「いきなり下で呼ぶの?」 「君が下で呼ぶなら」 無表情のまま握手をした。 「じゃあ潤君。私達の運命の出会いに感謝して、あっちでいろいろと推理小説について語り明かそうよ」 「語るのはいいけど明かすのはやだなー」 握手したままで手をひかれる。 「ここでの意味は一日中ってことじゃないよ?」 「? じゃあ何を語り明かすんだ?」 「もちろん語って『謎』を解き明かすんだよ」 すごい笑顔で答えられた。 「うまい……。のか?」 「そういう時は、うまい座布団一枚っていうのが普通なんだよ?」 「それが世の中の普通なら僕はもうついていけねぇよ……」 「時代ってやつだね」 これが僕と、潤と純の出会いである。
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