436人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
ーーーーーーー
夢を見た。
僕にしてはいい夢だ。
稀に見るまともな夢だ。
過去を振り返る夢なんて何ヶ月ぶりだろうか……。
目を覚ましてみるといつもの天井ではない。
あれ……何してたっけ。
軽く記憶喪失である。
えーーーーっと……。
自分を落ち着かせる。
まわりを確認すると僕はベッドの上にいる。
「いつから僕はこんな可愛い趣味を見つけたんだ……」
ベッドの柄は可愛いらしい動物に彩られている。
「すー……すー……」
微かな息遣いが聞こえた。
ベッドから下を覗くとそこには沙油がいた。
3秒ほど眺めてから記憶がフラッシュバックする。
「ああ。思い出した思い出した」
納得して沙油の鼻をつまむ。
「少しは手加減しろ」
やり過ぎると起きてしまうため
すぐに手を離す。
時計を確認。
針は真夜中の2時を刺している。
「さてと、予想外にも寝過ぎちゃったな……間に合えばいいんだけど」
上着も脱がずに寝ていたため
準備に時間はかからなかった。
「さて、道化のお仕事とまいりますかな」
僕は物音を立てないよう慎重に足を運び部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!