察外現場

2/9

436人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ
暗い夜道を照らすのは街頭。 明かりというにはあまりにもお粗末だ。 まだ九月に入ったばかりなのに夜は寒い。 仕方なくパーカーのフードを被って 首から上が凍えるのを防ぐ。 「ここ……だよな」 今日。正確に言うなら昨日僕が授業をサボってまで見た夢。 殺人の予知夢。 それを頼りに被害者の死に場所までを 被害者の通った道のりどおりにたどって行く。 おそらく犯人はリストカット事件の犯人と同一人物である可能性が高い。 商店街を抜けてさらに奥。 ロンドンの街並みをイメージにしたロンドン街を抜け、街頭すらない住民地へ。 辺りは民家とブロック塀。 「そうそう確かここを右だ……」 脳に残る記憶を頼りになんともない曲がり角を曲がった。 しかし、そこには……。 「あっ……」 「ん?」 男?だろうか……。 僕が戸惑ってしまったのはその人は髪が肩を越すぐらいに長いからだ。 さらに後ろ髪を高い所でくくっていてポニーテールにしている。 ギリギリ男だと思ったのはその服装。 栗色の革ジャンにジーパン、Tシャツのガラはドクロときた。 そして左側の前髪だけが赤く染まっている。 この時はまだそれがただのファッションであることを知らなかった。 なぜなら僕はそれを 「血……」 そう思っていたからだ。 それを連想する理由は至ってシンプル。 彼の前には血溜まりに横たわるスーツを着た人だった物があり、 彼の手には刃渡り20cmはある 西洋風のナイフ。 もちろんのこと赤い液体がべっとりと付着している。
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

436人が本棚に入れています
本棚に追加