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「じゃあな、オオカミ少年」
トオマと名乗る少年は何事もなかっかのように僕とは真逆の方へ帰ろうとしている。
「後片付けくらいはしろよ」
「最期におもちゃを触った奴が片付けるってか?お母さんかオマエ?」
「そんなルールは僕の家にない」
他所は他所。ウチはウチ主義者である。
というのは嘘。お母さんの事なんてのは何も知らない。
「あのなあ……死体を隠すことなんざしたら犯人に手を貸した事になるだろが」
「だったら君のストレス解消トレーニングだって、犯人像を惑わせる点においては共犯じゃないか。もしかしたら君が犯人として警察に追われるかもしれないよ?」
僕の説明を聞いたトオマは暫く考えてから
「よし。手伝え」
と、素直に協力を要請してきた。
「いや、それは勘弁」
「薄情な奴だな」
「君にだけは言われたくない」
「わかった。じゃあ借り一でなんでもいう事を聞いてやる」
僕は大きく溜息をつく。
「歪んでるよ本当」
「曲がっていると言ってくれ」
僕は被害者の足を持ち、トオマは頭を
重たくなった「モノ」を近くの空き地まで運ぶ。
指紋がつかないようにトオマから手袋をかりた。
「意外とちゃんとしてるんだな……」
「当然だ」
空き地は草で覆われている。
空き地といえば、某漫画に出てくる土管が3つほど重なった何もない殺風景なのを想像していたが、そこはもう僕の顔に重なるくらいの高さまで雑草?が生い茂っていた。
「ここらでいいかな……」
真ん中くらいまで来てからトオマがつぶやくと死体をゴトッと容赦なく捨てた。
「酷い奴だな」
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