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擬似殺人鬼と遭遇した後。
コンビニにより新商品の肉まんを買って冷える掌を温める。
沙油の家に戻る道を思い出しながら辿っていく。
「何やってんだ坊主」
と、後ろから渋い還暦のある声がした。
先ほどの殺人鬼ではないらしい。
それよりも聞き覚えがある。
僕は足を止めて後ろを振り向く。
そこには海外映画の探偵が着ていそうな
長く茶色いトレンチコートを着て、ほとんど顔が見えないようにテンガロンハットを被っている。
帽子のてっぺんが前から見えるというのもあまりない経験だ。
「海岸さん」
海岸さんとは知っている人もいると思うが
霧雲先輩にリスト・カット事件を依頼した張本人である。
職業は刑事さんであり。
ここら一帯の土地を取り仕切るお偉いさんである。
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