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「じゃあ、なんで……」
僕は海岸さんがリスト・カット事件と関係のない事件を追っているという事実に少し驚いていた。
「リスト・カット事件の犯人をこいつが殺そうとしてるのさ」
そういえば……そんなことを言ってな。
「犯人は生きて牢屋にブチ込むのが俺の流儀なんだよ。犯人殺してめでたしなんざ俺が生きてるうちはさせねぇよ」
海岸さんの顔は見えないがきっと怖い顔つきをしているのだろう。
「まあ、お前さんが知らないならいい。
悪かったな止めちまって」
海岸さんは僕に背中を向けて夜道に歩く。
「海岸さん」
「ん?」
「気をつけてくださいね。そいつ、海岸さんでも危ないかもしれませんよ?」
それを聞いて首だけを僕のほうに向けた。
そして、暫く間があった後
「フッ。フフフフ」
静かに笑う。
その刹那。
僕は前が何も見えなくなった。
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