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正しく言い表すと僕の目の前に何か黒い物体が遮り、何も見えなくなったのだ。
「俺の'蹴り'が錆び付いたってかい?」
その黒い物体の正体は'靴'。
29cmの長く、大きな靴が僕の眼前でピタリと止まっているのだ。
どうやら海岸さんは一瞬で僕との6mほどの幅をゼロにしたらしい。
「いえ、失礼なこと言ってすいません。
やっぱり海岸さんに勝てる人間はいませんね」
それを聞いて海岸さんは少し苦笑い、
と思われるような鼻であしらう声がした。
「それが一人だけいるんだよ」
「マジっすか?」
海岸さんはゆっくりと足を下ろす。
「『ギン』俺はまだあのピエロを捕まえちゃいねぇ」
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