9月5日

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「僕にそんな趣味はない」 僕は言い切ってみせる。 「これはなんの真似だ沙油。できれば僕が納得できるように説明してくれ」 沙油は急に顔が無表情になる。 「潤君。昨日夜中に外に出てたでしょ?」 沙油は顔を一気に近づける。 唇を少し伸ばせば当たる距離。 だがそんなことを考えさせるような状況ではなく。 僕は沙油の目と向き合う。 「ああ。お散歩がてらにそこらを回ってたよ」 「殺人鬼がいるこんな時に?」 その殺人鬼を捜してたんだけどね……。 「潤君は気づいてないと思うけど……。 血の匂いがプンプンするんだよ……」 「…………」 「それに……もう一人、なんか危ない人の匂いもね」 沙油は僕の胸元に手を当て、首から耳まで 鼻先でなぞるように匂いを嗅いでいく。 「潤君またなんか危ないことに関わってる?もしくは関わろうとしてるのかな?」 僕は何も答えない。 ゆっくりと沙油は僕の首に巻きつくように抱きしめる。 「もし……潤君が死んだら……私、きっといっぱい人を殺しちゃうよ?」 怖いことを言い出した。 「沙油は優しいな」
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